2015年9月17日木曜日

70年経て帰ってきました



先日見知らぬ60代位の男性が我が家を尋ねてきました。
古いアルバムを持っていました。
この人は近くの郵便局に昔から地元に住んでいる家で我が家の苗字の家の場所を聞いて
尋ねて来たそうです。
アルバムは戦時中と思われる海軍に関係する写真で
戦闘機や軍艦、人物の写真などが貼ってありました。
この人のお父様が持っていたアルバムだったそうです。
セピア色に色褪せた中に幾人もの人物の写真が貼ってあって
その一枚が昔の〇〇村 〇〇〇〇氏と万年筆で書かれた写真を指さしました。
この人はこちらの方ではないですか?
 
私はあわてて仏壇から過去帳を持ってきて調べました。
昭和17年2月20日南洋群島にて戦死と書かれたその人の名前だったのです。
そうです。この人は主人の伯父にあたる人です。
我が家は戦争で4人の伯父達が亡くなっています。
この人はこの家の三男にあたる人でした。
以前主人の父から遺骨も何も残っていないときいていました。
 
男性はお父様のアルバムに貼ってある人物の写真を遺族に
返しているのだそうです。
お父様はもう数年前に亡くなられたそうですが90歳を超えた
お母様がまだ健在でそのお母様が写真をあなたが尋ね歩いて返してあげなさいと
言われたそうでこうやってきたとのことでした。
「いままでも尋ねても代替わりしてしまって
お嫁さんが出てきてわからないと言われてしまうことが何回もありました。
わかって良かったです。父と同じ同郷できっとこの方と親しかったのでしょう。
父は戦争から帰ってきて航空自衛隊に入りパイロットをしていました。」
 
私は男性の住所とお名前を紙に書いてもらいました。
同じ市にお住まいで車だったら20分の近さに住んでいる方でした。
男性は写真を届けることができてホッとしたようでした。
私はその後、隣りの家の90歳のおじいさんにこの写真を見せました。
「これは確かに〇〇さんだ、この人は少年航空志願兵になった人だ。
兄弟の中で一番体格も良かった。よくこんなものが戻って来たなあ」と
感慨深いものがあったようです。
 
戦後70年を経て家に帰って来た写真。
おもわず私は「おかえりなさい」とつぶやきました。
不思議な巡り合わせを感じます。
戦闘服を着て写っているこの人は何を私たちに語りかけているのでしょうか。
奇しくもいま日本は安保法案で揺れています。
戦争とはなんですか?

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