2012年6月25日月曜日

くもの糸


先週の読み聞かせは「くもの糸」であった。
皆も知っている芥川龍之介作のお話である。

人殺しの大泥棒のカンダタは地獄の血の池に落ちて苦しんでいた。
そこへ極楽のお釈迦様がカンダタは一度だけ蜘蛛を助けたことがある、とお慈悲をかけ
天上から蜘蛛の糸を垂らすのである。


しめたとばかりにその蜘蛛の糸を登りはじめるのだがふと気が付くと
次から次から血の池地獄に落ちた者たちがその糸を伝って登ってくるのに気が付いた。
カンダタはこれでは糸が切れてしまうと、上から「降りろ、降りろ」とわめくのである。



と、そのとたん糸はプツリと切れてカンダタはもとの血の池にまっさかさまに
落ちて行ったのであった。
そうして天上から一部始終を見ていたお釈迦様の目には
自分ばかり地獄から抜け出そうとするカンダタの無慈悲な心が
罰を受けてもとの地獄へおちて行く姿が映りました。

このお話を読むにあたって何度も私は自宅で読む練習をした。
そしてどうやったらこのお話の意味を低学年の児童にわかってもらえるか
考えていた。
この文章は地獄、血の池、針の山、罪人、責め苦とおどろおどろしい言葉が
並ぶのであるが、
その途中途中にお釈迦様、白蓮の花、極楽、美しい銀色の蜘蛛の糸・・・
と、対比されて清廉な美しい言葉が述べられている。
この対比がこの物語の背景になりそこに罪人の主人公の
心の中が描かれているのである。

大人になってもこの物語は怖くて恐ろしい。
でも罪人でも良いことをした行いは神様が見ていて下さるのだ・・・
という救いの光りも見える。
さて、この話を聞いた児童たちは今回はシーンとおとなしく聞いていた。
この子たちの心にどう響いたのか。
いつか大人になったこの子たちに聞いてみたいものだ。
けれど「覚えていなーい」と言われるか。
聞きたいけれど私がもう極楽か地獄へ行ってしまっているか・・・
と、考えて自分で笑ってしまったのであった。

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